歯周病は全身の健康をも脅かす可能性が 歯周病と糖尿病、心筋梗塞などの全身疾患との関係について|大阪府八尾市の歯医者|谷口歯科クリニック

〒581-0069 大阪府八尾市龍華町2-1-1 坂本ビル2階

トピックス TOPICS

歯周病は全身の健康をも脅かす可能性が 歯周病と糖尿病、心筋梗塞などの全身疾患との関係について


お口の中の病気、と聞いたとき、皆様はどのような病気をイメージされるでしょうか。


一般的には、お口の中の病気と言えば、むし歯、または、口内炎などが連想されやすいです。


もちろん、歯を蝕むむし歯にも注意が必要になります。


むし歯にも注意が必要ですが、特に気をつけていただきたいのが、歯ぐき・顎の骨などの歯周組織がダメージを受ける「歯周病」です。


今回は、「歯周病の怖さ」および「歯周病と全身疾患の関係性」について、お話しします。


■歯周病の怖さ


◎ご本人が気づかないまま、歯ぐき・顎の骨がダメージを受けていくことが多いです

歯周病の怖いところは、「自覚症状を感じにくい」点です。


通常、むし歯は進行すると歯がしみたり歯に痛みを感じます。


症状を感じやすいむし歯と異なり、歯周病は病気(歯周病)にかかっているご本人が歯周病の存在に気づかないまま、歯ぐき・顎の骨がダメージを受けていくことが多いです。


歯周病の存在を感知できず放置した結果、気がついたときには歯ぐきが大きく下がって顎の骨が溶け、歯がグラグラ、歯が抜け落ちる寸前に…というケースも少なくありません。


■歯周病は糖尿病、心筋梗塞などの全身疾患をひき起こす可能性が指摘されています


歯周病の怖さは、お口の中だけに留まりません。


歯周病が進行すると、炎症反応によって顎の骨が溶け、顎の骨の中に通う血管内に歯周病菌が入り込むことがあります。血管内に侵入した歯周病菌が血液に乗って全身を駆け巡り、以下のような全身疾患をひき起こす可能性が指摘されているのです。


①糖尿病

歯周病が進行している方は、歯周病菌が出す炎症性物質(サイトカインなど)が原因でインスリンの分泌が低下しやすくなります。


インスリンは血糖値を下げるために欠かせないホルモンです。歯周病の進行によってインスリンの分泌が低下すると血糖値を下げにくくなり、糖尿病を発症しやすくなる・糖尿病が進行しやすくなる可能性が指摘されています(※)。


Stöhr, J.et al.「Bidirectional association between
periodontal disease and diabetes mellitus:
a systematic review and meta-a
nalysis of cohort studies
」(2021)より引用。


糖尿病と歯周病は密接に関係しています。糖尿病が進行した方は血糖コントロールの異常によって免疫機能が低下し、歯周病も進行しているケースが少なくありません。


②心筋梗塞、脳梗塞

歯周病が進行すると、心筋梗塞、脳梗塞が起きやすくなる可能性も(※1)(※2)。


血管内に侵入した歯周病菌が出す炎症性物質によって心臓や脳の血管の内壁が傷つけられる→傷つけられた箇所を中心に血栓ができる→血栓が原因で血流が滞り、心筋梗塞、脳梗塞が起きやすくなる、と考えられています。


(※1)東京大学大学院医学系研究科「日本人男性
労働者における歯周病と心筋梗塞の関連性に関
する5年間の追跡調査
」(2014)より引用。


(※2)A Lafon,B Pereira,T Dufour,V Rigouby,M Giroud,Y Béj
ot,S Tubert-Jeannin「Periodontal disease and stroke: a me
ta-analysis of cohort studies
」(2014)より引用


③誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは、飲み込んだ食べ物が誤って肺の中に入ることでひき起こされる肺炎です。


中高年以上の方は、加齢によって飲み込む力が低下し、誤嚥性肺炎を発症しやすくなります。


加齢による飲み込む力の低下が主な原因ですが、歯周病が誤嚥性肺炎に関係している、という研究報告も(※)。


研究では、唾液に含まれる歯周病菌がのどの筋肉反応を低下させてしまい、誤嚥性肺炎をひき起こす可能性が指摘されています。


(※)岡山大学大学院医歯学総合研究科「歯周病原
性細菌によって起こる誤嚥性肺炎の分子免疫学
的病態の研究
」(2002-2003)より引用。


④早産・低体重児出産

研究段階ですが、歯周病は早産・低体重児出産との関係性も指摘されています(※)。


現段階での推論になりますが、歯周病菌が出す炎症性物質によって子宮が収縮し、早産・低体重児出産がひき起こされるのでは、と考えられています。


(※)鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
歯周病と産婦人科疾患の関連性」(2012)
より引用。


【毎日のセルフケア&歯科医院の定期メンテナンスでお口の健康を守りましょう】


歯周病を含め、むし歯などの病気からお口の健康を守るには、まずは、毎日の歯磨き+歯間清掃をしっかり行うことが大切です。


毎日のセルフケアが基本ですが、ご自身で行う歯磨き+歯間清掃のみでは、歯についた歯垢・歯石は落とし切れません。


毎日のセルフケアに加え、歯科医院の定期メンテナンスで歯のクリーニングを受けることで、ご自身では落とし切れない歯垢・歯石を除去できます。クリーニングでの歯の清掃性のUPに加え、歯科医院で受ける定期的な検診(歯・歯周組織の状態チェック)により、歯周病・むし歯などのお口の病気の早期発見・早期治療にもつなげやすくなります。


大切な歯を保ち続けるため、毎日のセルフケアをしっかり行うと共に、歯科医院で定期メンテナンスを受けましょう。


医療法人 善心会
歯科医師
⇒理事長の経歴はこちら