歯質を強化し、むし歯予防の効果を高める、フッ素
フッ素が持つむし歯予防の効果については、以前、当院のブログにてご説明をさせていただきました。
ブログでご紹介したフッ素入り歯磨き粉のほか、フッ素を活用したむし歯予防としては、「フッ化物洗口(フッ素洗口、フッ素うがい)」も。
今回は、子どもから大人まで、むし歯予防の効果を高める「フッ化物洗口」のご紹介です。
目次
■「フッ化物洗口(フッ素うがい)」って何? 期待できる効果 フッ化物洗口のやり方
◎フッ素が含まれた洗口液でお口の中をゆすぐことで歯質を強化し、むし歯予防の効果を高めます
フッ化物洗口(ふっかぶつせんこう)とは、フッ素(フッ化物)が含まれた洗口液でお口の中をゆすぐフッ素うがいです。
フッ素が含まれた洗口液でお口の中をゆすぐことで歯質を強化し、むし歯予防の効果を高めます。
◎フッ化物洗口のやり方
フッ化物洗口は「お口ゆすぎ(ぶくぶくうがい)」です。のどを中心に行う、がらがらうがいとは少し異なります。
フッ化物洗口ではフッ素が含まれた洗口液(フッ素洗口液)をお口に含み、30秒~1分程度、お口ゆすぎ(ぶくぶくうがい)を行います。
フッ化物洗口でぶくぶくうがいを行った後は、お口の中は水でゆすぎません。お口の中を水でゆすがず、あえて、フッ素洗口液を残すことで、フッ素によるむし歯予防の効果を高めます。
■フッ化物洗口は何歳からOK?
◎4歳以上の子どもにフッ化物洗口を行えます
日本口腔衛生学会では、
「4歳以上であれば、小さな子どもも、フッ化物洗口を行うことでむし歯予防に役立つ」
と、小さな子どものフッ化物洗口を奨励しています(※)。
フッ化物洗口は、難しい手順やルールはありません。ぶくぶくうがいのみのため、小さな子どもでもフッ化物洗口を行いやすく、乳歯のむし歯予防の効果を高められます。
小さな子どもでも行いやすいフッ化物洗口ですが、お子様をお持ちの親御さんによっては「子どもへのフッ素の影響(歯や全身への健康被害など)が心配…」という方もいらっしゃるかもしれません。
フッ化物洗口(フッ素洗口液)は、子どもに健康被害をおよぼすのでしょうか?
子どもへのフッ素の悪影響の可能性について、日本口腔衛生学会では、以下のような見解を発表しています(※)。
[日本口腔衛生学会が発表した「6歳未満の児童へのフッ化物洗口」に関する見解]
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6歳未満の児童へのフッ化物洗口で、歯や全身の健康に大きな問題(健康被害など)が発生する可能性は低い
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フッ素洗口液の濃度、および、先行回数の基準化(次の項でお伝えします)により、安全性を高めながら、6歳未満の幼児へのフッ化物洗口を行える
上記の見解に基づき、6歳未満の子どものフッ化物洗口で、歯や身体に健康被害などの悪影響が生じる可能性は低いと考えられます。
4歳以上であることが前提になりますが、小さなお子様もフッ化物洗口でむし歯予防の効果を高めることが可能です。どうぞ、ご安心ください。
(※)一般財団法人 日本口腔衛生学会
「児童へのフッ化物洗口に対する見解」
(2011)より引用。
{6歳未満の小さな子どもに対しては、低濃度のフッ素洗口液の使用が推奨されています}
濃度(ppm)が高いほど、むし歯予防の効果を得やすいとされるフッ素。
濃度の高さが重要ですが、高濃度のフッ素による歯・身体への影響を考慮し、6歳未満の小さな子どもは低濃度のフッ素洗口液の使用が推奨されています(※)。
(※)一般財団法人 日本口腔衛生学会
「児童へのフッ化物洗口に対する見解」
(2011)より引用。
6歳未満の小さな子どもに用いるフッ素洗口液の濃度は、225~250ppmの低濃度の物が一般的です。
■フッ化物洗口で用いるフッ素洗口液の種類
◎ご家庭用の市販品、および、歯科医院専用のフッ素洗口液があります
フッ化物洗口においては、ご家庭用の市販品、歯科医院専用など、以下のようなフッ素洗口液の種類があります。
[フッ化物洗口で用いるフッ素洗口液の主な種類]
ご家庭用の市販品
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ご家庭用のフッ素洗口液
「フッ素コート」「〇〇コート」などの商品名が多いです
日本国内では、ご家庭用の市販品のフッ素洗口液は225ppm(最大値)にフッ素濃度が統一されています。
歯科医院専用のフッ素洗口液
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ミラノール顆粒11%
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オラブリス洗口用顆粒11%
歯科医院が取り扱うフッ素洗口液です(歯科医院の院内で行うフッ素洗口用or患者様がご自身で使うための処方用)。
歯科医院専用のフッ素洗口液(フッ素顆粒)の濃度は主に250ppm、400ppm、900ppmの3種類があります。
◎ご家庭・歯科医院でのフッ化物洗口のほか、保育園・幼稚園や小学校・中学校でフッ化物洗口を行っているところも
ご家庭・歯科医院でのフッ化物洗口のほか、自治体によっては、保育園・幼稚園や小学校・中学校がフッ化物洗口を導入しているところも。
ご家庭でのフッ化物洗口を含め、保育園・幼稚園や小学校・中学校におけるフッ化物洗口では、以下のような方法・回数が基準・目安とされています。
≪フッ素洗口液の濃度と洗口回数の目安≫
【むし歯予防の効果を高めるために、毎日のセルフケアに「フッ化物洗口」を採り入れることをおすすめします】
歯質を強化し、むし歯予防の効果を高める「フッ化物洗口」。
毎日の歯磨き+歯間清掃と併せて、フッ化物洗口を行うことで、むし歯予防の効果を高められます。
小さな子ども~大人まで、年齢を問わず、簡単にむし歯予防の効果を高めやすい点がフッ化物洗口の特徴です。
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今回は、「フッ化物洗口のやり方」「フッ素洗口液の種類」のご説明をさせていただきました。
次回のブログでは、「フッ化物洗口のメリット・デメリット」について、お話しします。