フッ化物洗口のメリット・デメリット フッ素うがいに危険性はあるの?|大阪府八尾市の歯医者|谷口歯科クリニック

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フッ化物洗口のメリット・デメリット フッ素うがいに危険性はあるの?


フッ素(フッ化物)が含まれたフッ素洗口液を用い、ぶくぶくうがいでむし歯予防の効果を高める「フッ化物洗口」。


先月のブログにひき続き、今回は「フッ化物洗口のメリット・デメリット」について、お話しします。


■フッ化物洗口のメリット


週1回~毎日1回など、日頃から行うフッ化物洗口の習慣。定期的・習慣的なフッ化物洗口により、以下のように、むし歯予防の効果を高められます。


1.フッ素の作用で歯の再石灰化を促進&歯質を強化

フッ素洗口液に含まれる、フッ素。

フッ素には、以下のような作用があります。


[フッ素が持つ作用 その①]


歯の再石灰化を促進

歯の再石灰化:むし歯菌が出す酸や飲食物に含まれた酸で溶けた歯を、唾液に含まれるカルシウムやリンなどで修復すること


歯質を強化

歯質を強化:歯を覆うエナメル質を厚く・硬くすること


フッ化物洗口を行うことで、フッ素の作用によって歯の再石灰化を促進&歯質を強化。むし歯予防の効果を高められます。


2.フッ素の抗菌作用でむし歯菌の活動(酸を出す)を抑制

歯の再石灰化&歯質を強化する作用に加え、フッ素洗口液に含まれているフッ素には、以下のような作用も。


[フッ素が持つ作用 その②]


むし歯菌の活動を抑制

むし歯菌の活動を抑制:むし歯菌が酸を出す活動(=歯を溶かす活動:脱灰(だっかい)を抑制すること


フッ素の抗菌作用でむし歯菌の活動を抑制することで、むし歯菌による歯の脱灰(脱灰=むし歯の始まり)の進行を防ぎやすくなります。


3.ぶくぶくうがいで済むため、小さなお子様でもむし歯予防の効果を高められる

フッ化物洗口は30秒~1分程度のぶくぶくうがいでOK。難しいことは何もありません。

ぶくぶくうがいで済むため、小さなお子様でも、フッ化物洗口によりむし歯予防の効果を高められます。


■フッ化物洗口のデメリット フッ素に危険性はあるの?


むし歯予防の効果を高められる、フッ化物洗口。


フッ化物洗口はむし歯予防の効果を高められますが、「フッ化物洗口はフッ素の危険性が心配…」という方もいらっしゃるかもしれません。特に、お子様をお持ちの親御さんは、フッ化物洗口によるお子様の歯・全身への健康被害が不安…という方も。


◎誤った方法が原因で起こり得る、フッ素の健康被害について

{常軌を逸したフッ素の大量飲用など、誤った方法でのフッ素の飲用が原因で健康に悪影響が出るおそれがあります}


高濃度フッ素入りの歯磨き粉の使用、フッ化物洗口など、通常の使用であれば、フッ素が原因で健康被害が出る可能性はほぼありません。


ほぼ、としたのは、常軌を逸したフッ素の大量飲用など、誤った方法でフッ素を用いると、健康に悪影響が出るおそれがあるためです。


以下のような、常軌を逸したフッ素の大量飲用を行った場合、歯牙フッ素症(※1)や骨硬化症(※2)などの健康被害が出るおそれがあります。


[常軌を逸した、誤った方法によるフッ素使用の例]


  • 毎日、高濃度フッ素入りの歯磨き粉を何本も飲み込む

  • 毎日、フッ素洗口液をごくごく飲む

  • アメリカなど、水道水にフッ素が添加された国で水道水を日常的に使用し、かつ、上記の誤った方法によるフッ素使用を行う


(※1)歯牙フッ素症…大量+長期間の高濃度のフッ素の摂取に
より、歯の表面がまだらに(斑点状に)変色すること。


(※2)骨硬化症…全身の骨が異常に厚く、硬く
なってしまう病気。悪化した場合、脳神経が圧迫
されたり、骨髄炎をひき起こすケースも。


通常、上記のような誤った方法ではフッ素は用いることはほとんどないと思います。

そのため、フッ化物洗口で健康被害が出るおそれは原則としてありません。


■年齢別:フッ素の摂取許容量 フッ化物洗口の安全性について


◎フッ化物洗口で摂取したフッ素が原因で健康被害が出る可能性は基本的にありません

フッ化物洗口では、ぶくぶくうがいの後にフッ素洗口液を吐き出しますが、フッ素の作用を高めるために水でお口はゆすぎません。水でお口はゆすがないため、フッ化物洗口では、お口の中に多少、フッ素洗口液が残ります(あえてフッ素を残すことで、むし歯予防の効果を高める)。


フッ化物洗口でお口の中に残るフッ素は約0.2mg程度です。


以下は、年齢別のフッ素の摂取許容量になります。


[年齢別:フッ素の1日あたりの摂取許容量(男女共通)(※)]


・0ヶ月~3歳··········· 0.7~1.3mg

・4~8歳·················· 2.2mg

・9歳以上················· 10.0mg


(※)Washington (DC): National Academies Press (US)
Dietary Reference Intakes for Calcium, Phosphorus,
Magnesium, Vitamin D, and Fluoride
」(1997)より引用。


上記を見ていただいてもわかるとおり、0ヶ月~3歳の赤ちゃん・幼児でも1日あたりの摂取許容量は0.7~1.3mg(フッ化物洗口でお口の中に残るフッ素量の約3~6倍)です。


フッ化物洗口でお口の中に残るフッ素は約0.2mgのため、全年齢を通じて、フッ化物洗口が原因で健康被害が出る可能性は基本的にありません。どうぞ、ご安心ください。


【毎日のセルフケアにフッ化物洗口を採り入れ、むし歯予防の効果を高めましょう】


むし歯・歯周病などのお口の病気の進行を抑えるには、まずは、毎日の歯磨き+歯間清掃によるセルフケアをしっかり行うことが基本です。


毎日のセルフケアに加え、フッ化物洗口を採り入れることで、むし歯予防の効果をさらに高めやすくなります。


大切な歯を守るために、毎日のセルフケアにフッ化物洗口を採り入れ、むし歯予防の効果を高めましょう。


医療法人 善心会
歯科医師
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