日本人の約8割がかかっているとされる「歯周病」。
以前、当院のブログでも歯周病の怖さのお話をさせていただきました。
ブログをお読みいただいた患者様からご反響をいただいたのですが、特に多かったのが、「歯周病が進行しやすいのはどんな人?」というご質問でした。
そこで今回は、「歯周病の原因」および「歯周病が進行しやすい方」についてご説明します。後半では歯周病が進行しやすい方のセルフチェックリストを載せてありますので、歯周病が気になる方はぜひ、記事をご参照ください。
目次
■歯周病の原因
◎「歯周病菌」「噛み合わせの乱れ」が歯周病の主な原因と考えられています
歯周病をひき起こすのは、以下の2つが主な原因と考えられています。
①歯周病菌
(カビ菌などの歯周病菌が出す毒素)
②噛み合わせの乱れ
(噛み合わせの乱れによる、歯・歯周組織へのアンバランスで過剰な負荷)
①歯周病菌により、歯周病を発症・歯周病が進行するメカニズム
1.
歯周病(プラーク性歯周疾患の場合)は感染症の一種です。生まれたばかりの赤ちゃんには歯周病菌はいません。多くの場合、ご両親や祖父母、お友達などからのキス・口移し・回し食べ・回し飲みなどが原因で歯周病菌に感染します。
2.
歯周病菌はカビ菌などから構成される、複数の細菌です。歯周病菌の多くは歯垢の中にひそんでいます。
3.
歯みがきや歯間清掃を怠ったり、歯科医院で定期メンテナンス(検診+歯のクリーニング(歯石取りを含む))を受けないでいると、歯垢・歯石が歯に付着した状態が続きやすくなります。
4.
歯垢・歯石が歯に付着した状態が続くと、歯垢の中にひそむ歯周病菌が増殖・活発化しやすくなります。増殖・活発化した歯周病菌が出す毒素により、歯ぐきや顎の骨に炎症が起き、歯周病を発症したり、歯周病が進行することがあります。
—–
上記が、歯周病菌によってひき起こされる歯周病(プラーク性歯周疾患)のメカニズムです。
②噛み合わせの乱れにより、歯周病を発症・歯周病が進行するメカニズム
1.
歯並びの乱れ、顎の骨格・顎関節の異常、合わない詰め物・被せ物など、何らかの原因により、噛み合わせが乱れることがあります。
2.
噛み合わせが乱れると、全体の歯を使ってバランス良く噛みにくくなります。咀嚼のバランスが乱れてしまうと、歯・歯周組織にアンバランスで過剰な負荷がかかりやすいです(外傷性咬合)。
また、すきっ歯で歯のすき間が大きいと、食べカスが歯と歯のあいだに挟まりやすくなります。挟まった食べカスの圧力により、すきっ歯の方は歯・歯周組織に継続的な負荷がかかりやすいです(食片圧入)。
3.
噛み合わせの乱れによるアンバランスで過剰な負荷や、食片圧入による継続的な負荷がかかり続けた結果、歯・歯周組織がダメージを受け、歯周病を発症したり、歯周病が進行することがあります。
—–
上記が、噛み合わせの乱れによってひき起こされる歯周病(非プラーク性歯周疾患)のメカニズムです。
一般的には、「歯周病は歯周病菌がひき起こす病気」と認識される傾向があります。歯周病菌に加え、「噛み合わせの乱れ」も歯周病の発症・進行の原因と知り、驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
■歯周病が進行しやすい方 セルフチェックリスト
◎ご自身に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう
歯周病は「歯周病菌」「噛み合わせの乱れ」が主な発症・進行の原因と考えられています。
2つの原因が存在することを踏まえ、以下に、歯周病が進行しやすい方のセルフチェックリストをご用意しました。ご自身に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。
□あまり歯を磨かない
□あまり歯間清掃をしない
□歯と歯ぐきの境目部分の磨き残しが多い
□歯と歯ぐきの境目部分に歯石が溜まっている
□ゴシゴシと強い力で歯を磨いている
□半年以上、歯科医院に行っていない
□歯並びが乱れている
□噛み合わせが乱れている
□歯ぎしり・食いしばりの癖がある
□ウエイトトレーニングや仕事(肉体労働)などで力を入れるとき、歯を食いしばることが多い
□口呼吸をしている
□喫煙している
□ストレスが多い
□口の中が乾きやすい
□詰め物・被せ物に違和感がある
□歯と歯のあいだに食べカスがよく挟まる
◎1つでも当てはまった方は、歯周病が進行しやすい可能性があります
いかがでしたか?当てはまったものはありましたでしょうか?
1つでも当てはまった方は、歯周病が進行しやすい可能性があります。
チェックリストに1つも当てはまらなかった方は、歯周病の進行リスクは比較的低いと言えます。ただし、歯周病は国民病と言われるほど、多くの方がかかっている病気です。1つも当てはまらなかったからと言って、歯周病ではない・歯周病が進行しにくい訳ではありません。
【適切な歯周病ケア・歯周病治療を行うために、まずは、歯科医院で受診を】
アメリカなどの海外の国では「サイレントキラー」と呼ばれ、恐れられている歯周病。
歯周病は自覚症状に乏しく、ご自身では気がつかないうちに病気が進行するケースが多いです。
歯周病はさまざまな原因によって発症・進行します。歯周病の発症を防ぎ、進行を抑えるためには、まずは、歯科医院で診察を受け、歯周病の発症・進行の要因を突き止めることが重要です。
歯みがきや定期検診が不足しているのか、噛み合わせが乱れているのかなど、歯科医院で受診し、患者様ごとに異なる歯周病の発症・進行の要因を突き止めることで、より適切で効率性を高めた歯周病ケア・歯周病治療を行いやすくなります。
– 歯周病治療の経験が豊富な歯科医師による歯周病治療を行っています –
大阪府八尾市の谷口歯科クリニックでは、日本歯周病学会に在籍する、歯周病治療の経験が豊富な歯科医師による定期検診、および、歯周病治療を行っています。
[当院の歯周病治療の内容]
・歯のクリーニング
・スケーリング(歯石取り)
・SRP(スケーリング・ルートプレーニング(歯の根面の歯石取り))
・再生療法(リグロス、エムドゲイン)
・歯周外科処置(歯ぐきの切開による歯の根面の歯石取り&クリーニング、歯周組織の再生)
歯ぐきの腫れなど、歯周組織の違和感や異常がある方、定期的なメンテナンスで歯周病の進行を抑えたい方は当院までお気軽にご相談ください。
初診では歯科医師が患者様のお口の状態を診査し、適切なケア&治療方法をご提案させていただきます。