歯ぐきの出血が続く方へ|歯周病菌と認知症・心疾患の関係と受診の目安|大阪府八尾市の歯医者|谷口歯科クリニック

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歯ぐきの出血が続く方へ|歯周病菌と認知症・心疾患の関係と受診の目安

歯ぐきの出血が続く方へ|歯周病菌と認知症・心疾患の関係と受診の目安

痛みのない出血と、全身の健康を切り分けて考える


「歯周病」「認知症」「心疾患」と並べて検索すると、不安を強める言葉が目に入りやすくなります。ただ、研究で分かっていることの多くは、まだ「関連がある」という段階です。この記事では、報告されている関係と未解明な点を分けて整理します。そのうえで、痛みがなくても出血が続くなら、歯科で原因を確認しておく意味があります。家庭でのケアや受診の目安とあわせて紹介します。


この記事の要点まとめ


  • 歯ぐきの出血には歯周病以外の要因もあり、出血量だけで進行度や全身への影響は判断できません。
  • 歯周病と認知症・心疾患には関連の報告がありますが、因果関係や予防効果は確立していません。
  • 出血が2週間ほど続く場合は歯科へ相談し、持病や服薬を伝えて検査やケア方法を確認しましょう。

歯周病菌と歯ぐきの炎症は、全身にどう関わる?

歯周病菌と歯ぐきの炎症は、全身にどう関わる?

痛みがなくても歯磨きで出血する理由


歯と歯ぐきの境目に歯垢(プラーク)が残ると、その中の細菌に歯ぐきが反応して炎症が起こります。炎症で毛細血管がもろくなるため、軽くブラシが触れただけでも血がにじむのです1。初期の歯周病は、痛みがほとんど出ません。


硬い毛先で強くこする磨き方や、服用中の薬の影響で出血しやすくなることもあります。出血が2週間ほど続くようなら、原因を確かめておきましょう。


歯周病菌と炎症が血流に関わると考えられる道筋


炎症を起こした歯ぐきの内側は、小さな傷が広がったような状態です。そのため、細菌やその成分が血管に入り込みやすいと考えられています。体はこれに免疫反応で応え、炎症に関わる物質が全身をめぐります。


この流れは、心臓病・糖尿病・誤嚥性肺炎・早産や低体重児出産などとの関連を説明する仮説の一つです2。ただし、仕組みの仮説があることと、病気の発症が証明されたことは別です。


出血だけで全身への影響は判断できない


出血が多いから重症、少ないから安心、とは言い切れません。喫煙している方は血管が縮み、出血が目立ちにくい場合もあります。


歯周病がどこまで進んでいるかは、歯周ポケットの深さや骨の状態を調べて初めて分かります。認知症や心疾患へのなりやすさを、出血の量から決めつけることはできません。


歯周病菌と認知症の研究で、分かっていること・いないこと


口腔細菌や歯周状態との関連は報告されている


同じ人を長期間追跡した研究をまとめた解析があります。そこでは、歯周状態が良くない人ほど、認知機能の低下や認知症の診断が多い傾向が示されました3。別の統合解析でも、歯周病と認知障害・認知症の関連が報告されています4。


とはいえ、対象者の年齢や歯周病の測り方は研究ごとに異なります。根拠の確かさにはまだ限りがあると、研究者自身が述べています。


脳への影響が調べられている歯周病菌


研究でよく取り上げられるのが、歯周病の代表的な原因菌であるポルフィロモナス・ジンジバリスです。動物実験などでは、この菌や菌がつくる酵素と、脳の変化との関係が調べられています。


16件の臨床研究をまとめた報告では、口腔細菌とアルツハイマー病の関連を示す結果がありました。一方で、研究によって結果にばらつきも見られます5。脳への影響は、まだ研究段階と受け止めておくのが妥当です。


「歯周病なら認知症になる」は誤解


認知症には、年齢、高血圧や糖尿病、運動習慣、聴こえの状態など、多くの要因が関わります。歯が減って食事が偏る、会話の機会が減るといった間接的な影響も考えられます。そのため、関連が報告されているだけでは、原因を一つに絞れません34。


歯周病の治療で認知症のなりやすさがどの程度下がるのかも、確立していません。ご家族のもの忘れと、ご自身の歯ぐきの出血を、直接結びつけて考える必要はありません。


心疾患との関連と、血圧・糖尿病が気になる方の見方


歯ぐきの炎症と血管への影響はどう考えられている?


歯周病による慢性的な炎症が、血管の壁にも炎症を起こし、動脈硬化を進める一因になり得る。そうした考え方があります。動脈硬化を起こした部分から、歯周病菌の遺伝子が見つかったという報告もあります。


ただ、心筋梗塞や脳梗塞には、喫煙・脂質異常・高血圧などが大きく影響します。歯周病を直接の原因と断定できる段階ではありません62。


血圧を指摘された方が知っておきたいこと


健診で指摘された血圧と歯ぐきの出血は、別々に対応していくのが現実的です。血圧の管理は内科で、出血の原因確認は歯科で、それぞれ続けていきましょう。遠回りに見えても、この進め方が確かです。


降圧薬の中には、副作用として歯ぐきが腫れやすくなる種類もあります。服薬中の方は、歯科で薬の名前を伝えてください。診察の手がかりになります。


糖尿病がある場合も、歯ぐきの状態を伝える


糖尿病と歯周病は、互いに影響し合うことが知られています6。血糖値の高い状態が続くと歯ぐきの炎症が治まりにくくなり、反対に炎症が血糖の管理を難しくする面もあります。


糖尿病の診断を受けている方は、HbA1cの数値や服用中の薬を歯科で伝えてください。なお、歯周病の治療だけで心疾患を防げるわけではありません。


八尾市で歯ぐきの出血を相談する前に


出血が続く・腫れる場合の受診の目安


痛みがなくても、歯磨きのたびに出血が2週間以上続くなら、歯科へ相談する目安です。歯ぐきが赤く腫れている、口臭が気になる、歯が浮くような感じがある場合も同じです。


出血がなかなか止まらない、顔まで腫れてきたというときは、早めに連絡してください。胸の痛みや息苦しさ、片側の手足のしびれがある場合は、歯科の受診を待たずに内科や救急へ相談しましょう。


家庭での歯磨きと、歯科で確認する項目


歯ブラシは、歯と歯ぐきの境目に毛先を軽く当て、小刻みに動かします。出血しても強くこすらないようにしましょう。歯と歯の間は、フロスや歯間ブラシで清掃します1。禁煙、睡眠やストレスの管理、よく噛む食生活への見直しも、歯ぐきの状態に関わります。


歯科では、歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯の揺れを調べます。必要に応じて、レントゲンや歯科用CTで骨の状態も確認します2。細菌検査の結果だけで、全身の病気を予測することはできません。


持病・服薬と通院の希望を相談時に伝える


相談の際は、次のことを伝えてください。処置の進め方を決める材料になります。


  • 血圧や糖尿病の有無
  • お薬手帳
  • 血液を固まりにくくする薬を飲んでいるかどうか

お仕事やご家族の通院の付き添いで、通える曜日が限られる方もいるでしょう。その場合も最初に伝えておくと、予定を組みやすくなります。当院に限らず、歯科での説明では、お口の状態や処置の内容を確認することが大切です。


症状や受診の目安は医院サイトなどで調べられます。ただ、検索結果だけで受診が必要かどうかは判断せず、出血が続く場合は歯科へ相談してください。


よくある質問


Q. 歯周病の人は何人に1人くらいいますか?


A. 国の歯科疾患実態調査では、年代が上がるほど歯周ポケットがある人の割合が高くなる傾向が示されています。詳しい結果は、厚生労働省が公表している調査資料で確認できます。自覚症状がないまま進むことも多いため、定期検診で確認しておくと状態を把握しやすくなります。


Q. 80歳で自分の歯を20本以上保っている人は、どれくらいいますか?


A. 国の歯科疾患実態調査で、調査年ごとの結果が公表されています。具体的な割合は、厚生労働省の公表資料でご確認ください。歯を失う主な原因の一つが歯周病のため、日々の歯磨きと歯科での定期的な確認を続けることが、歯を保つことにつながります。


Q. 糖尿病で通院中ですが、歯科で歯周病の検査を受けられますか?


A. 受けられます。内科の主治医から指示されている内容や、HbA1cの数値、服用中の薬を伝えてください。体調に合わせて検査や処置の進め方を相談できます。


Q. 出血するのは、強く磨きすぎたからでしょうか?


A. 強い歯磨きが原因の場合もありますが、歯ぐきの炎症が隠れていることも少なくありません。磨き方を見直しても出血が続くなら、一度歯科で確認しましょう。


Q. 歯周病の検査にはどれくらい費用がかかりますか?


A. 初診で歯周病検査を受ける場合、保険診療の3割負担でも、費用は検査や処置の内容によって変わります。一般的な費用の説明であり、当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や検査内容により異なります。当院の費用は診察のうえでご案内します。


参考文献


1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth

2. 日本臨床歯周病学会 https://www.perio.jp/

3. Asher S, Stephen R, Mäntylä P, et al. Periodontal health, cognitive decline, and dementia: A systematic review and meta-analysis of longitudinal studies. J Am Geriatr Soc. 2022. PMID: 36073186 / DOI: 10.1111/jgs.17978

4. Dibello V, Custodero C, Cavalcanti R, et al. Impact of periodontal disease on cognitive disorders, dementia, and depression: a systematic review and meta-analysis. GeroScience. 2024. PMID: 38943006 / DOI: 10.1007/s11357-024-01243-8

5. Liu S, Dashper SG, Zhao R. Association Between Oral Bacteria and Alzheimer's Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Alzheimers Dis. 2023. PMID: 36404545 / DOI: 10.3233/JAD-220627

6. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/


谷口 善三郎

歯科医師


谷口歯科クリニック

理事長

谷口 善三郎

▶ 監修者プロフィール

経歴
2006年 明海大学 歯学部卒業
2006年 明海大学 歯学部付属明海大学病院臨床研究
2007年 明海大学 臨床研修終了
2007年 埼玉県の一般歯科勤務 埼玉県地域医療に尽力
2008年 槙原歯科浦和インプラントセンターにて勤務
院長・センター長に抜擢
2014年 ハーバード大学インプラントコース修了(アメリカボストン)
2015年 谷口歯科クリニック 開院
2017年 医療法人善心会 谷口歯科クリニックとして医療法人化
2017年 テンプル大学インプラント解剖学コース修了(アメリカ)
2018年 ベルン大学インプラントコース修了(スイス)
2023年 京橋オレンジ歯科クリニック 開院
資格・所属学会
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯周病学会
日本補綴歯科学会
MID-g役員
日本歯周病学会
日本矯正歯科学会
デンツプライシロナ(アストラ)インプラント認定医
スタディーグループKZ会主催