世界一の平均寿命を誇る国、日本。

超高齢化社会への移行にともない、近年では、平均寿命と共に「健康寿命」に注目が集まっています。

健康寿命とは、食事や排せつ、歩行など、生きていくために欠かせない日常の動作をご自身の力で行える年齢を指します。

健康寿命に対し、平均寿命とは文字通り、生命の命が尽きるまでの年齢です。

介護など、人の手を借りず、自分の力で活き活きと生きる期間を指す、健康寿命。

健康寿命には、食べ物を食べるための器官である「歯」の健康が大きく関わってきます。

今回は、「歯の健康を保つことの大切さ　歯と健康寿命の深い関係」のお話です。

■歯の健康を保つことの大切さ

歯の健康を保ち、丈夫な歯を維持することには、以下のようなメリットがあります。

①しっかり食べ物を噛むことができ、バランス良く栄養を摂りやすくなる

食事は生命活動の基本です。人間を含め、すべての生き物は食べ物から栄養を摂り、生きています。

生命活動の基本である、食事。しかし、歯周病で歯を失っていたり、合わない入れ歯が原因でしっかり食べ物を噛めないケースも少なくありません。

歯の状態が悪いと、多くの場合、以下のような食べ物をしっかり噛みにくくなります。

・弾力のあるお肉

・繊維質の野菜・お魚

・硬い小魚

・ナッツ類

歯の状態が悪い方・多くの歯を失っている方は上記の食べ物を噛みにくく、ご飯・麺類・パン・甘いスイーツなどの炭水化物中心の食生活になりがちです。炭水化物中心の食生活は糖質過多により、肥満・糖尿病などの生活習慣病の原因になります。

丈夫な歯を維持し、食べ物をしっかり噛める機能を保つことはとても大切です。丈夫な歯があれば、弾力のあるお肉や繊維質の野菜・お魚、ナッツなどの硬い物もしっかり噛んで食事を楽しめます。さまざまな食材をバランス良く食べることで、栄養面が改善され、全身の健康を維持する・向上させる効果も期待できます。

②噛む刺激によって脳への血流が増え、認知症の予防につながる

多くの歯を失っていたり、合わない入れ歯が原因でしっかり噛めなくなると、認知症を発症しやすいことが研究によって報告されています（※）。

（※）神奈川歯科大学大学院 山本龍生教授

「歯科から考える認知症予防への貢献」(2017年)より引用。

・残っている歯が少ない方or不安定な入れ歯で噛む力が弱まっている方

と比べて、

・健康な歯を多く保っている方orインプラントで歯を補っている方

は、噛む刺激がしっかり脳に伝わりやすいです。噛む刺激によって脳への血流が増え、認知症の予防につながります。

■歯の健康を保つために必要なこと

1．毎日の歯みがき＋歯間清掃（セルフケア）

歯の健康を保つためには、まずは、ご自身で行う毎日の歯みがき＋歯間清掃が基本です。

毎食後は、歯を磨きましょう。歯みがきに加え、フロスや歯間ブラシによる歯間清掃も忘れずに行ってください。

なお、毎食後の歯みがきに時間が取れない・どうしてもめんどくさい場合は、寝る前の歯みがき＋歯間清掃だけはしっかりと行いましょう。

2．歯科医院の定期検診（プロケア）

ご自身で行う歯みがき＋歯間清掃は、歯の健康を保つための基本です。しかし、セルフケアのみでは、歯についた歯垢・食べかすなどの汚れは落とし切れません。

歯科医院の定期検診では、ご自身では落とし切れない歯垢・汚れを、歯科衛生士が行う歯のクリーニングで除去していきます。定期的な歯のクリーニング・歯石取りにより、セルフケアのみの場合と比べて、むし歯・歯周病を効率的に予防しやすくなります。

歯のクリーニングに加え、定期検診で定期的にお口の状態をチェックすることで、むし歯・歯周病をはじめとするお口の病気や異常の早期発見・早期治療にもつながります。

■歯を失ってしまった場合は？

◎安定性が高い人工歯「インプラント」をオススメします

歯の健康を保つためのベストは、ご自身の天然の歯を残すことです。

ベストは天然の歯を残すことですが、歯周病やむし歯、歯根破折（歯の根の部分が割れたり、ひびが入ったりすること）、不慮の事故などが原因で歯を失ってしまう場合も。

歯を失ってしまった場合は、安定性が高い人工歯である「インプラント」がオススメです。

インプラントには、ブリッジ・入れ歯にはない、以下のようなたくさんのメリットがあります。

①顎の骨に人工歯根を埋め入れるため、高い安定性がある

②高い安定性に基づき、弾力のあるお肉や繊維質の野菜・お魚、硬い物もしっかり噛んで食事を楽しめる

③残っている歯を傷つけない

④ずれたり外れる心配がほぼない

⑤発音しやすい

⑥自然な白さの歯の色に近づけられる

⑦平均耐用年数が10～15年以上で長い（※）

（※）10～15年とは、その時点でのインプラントの生存率です。必ずしも、

10～15年以内にインプラントが寿命を迎える訳ではありません。毎日の

セルフケアと歯科医院での定期的なメンテナンスにより、平均以上の

期間、インプラントを維持することも十分可能です。

【セルフケア＆定期検診で歯の健康を保ちましょう】

健康寿命の長さには、歯の健康が大きく関わってきます。

歯の健康を保ち、健康寿命を延ばすためにも、毎日のセルフケアをしっかり行うと共に、歯科医院で定期検診を受けましょう。